やさしいHAWAI’ I

Chewing over TOP » やさしいHAWAI’ I » 第38回:夢のサマーセッション①

第38回:夢のサマーセッション①
2013年05月24日

【written by 扇原篤子(おぎはら・あつこ)】1973年から夫の仕事の都合でハワイに転勤。現地で暮らすうちにある一家と家族のような付き合いが始まる。帰国後もその 一家との交流は続いており、ハワイの文化、歴史、言葉の美しさ、踊り、空気感に至るまで、ハワイに対する考察を日々深めている。
【最近の私】今、我が家のベランダには、柚子、オリーブ、ブドウ、イチジク、イチゴ しし唐、トマト、オクラと、食いしん坊の私にぴったりのものがいっぱい。ブドウは棚を作ったので、今年の夏はブドウの木陰で本でも読もう。
-----------------------------------------------------------------------------------------
ハワイ大学のサマーセッションを受講したのは、もう10年以上前のことになる。大好きなハワイでもう一度生活したい、もっとハワイのことを深く知りたい。そんな思いが募り、インターネットでハワイ大学の受講条件を調べた。国籍や年齢には関係なく、授業料さえ払えば誰にでも開かれていることが分かり、さらに内容を詳しく調べた結果、"Hawai'I 'Ohana"というクラスを受講することにした。

このクラスでは、ハワイの歴史や文化について学ぶ。ちなみに、'Ohanaというのはハワイ語で「Family, relative, kin group」という意味。単なる"家族"というより、"アロハの絆で結ばれている親しい仲間、一族"という感じだ。ハワイの人々にとって、'Ohanaの絆は大変強く、社会を形成する基盤となっている。'Ohanaを基に歴史が築かれたといっても過言ではない。つまり、ハワイの歴史を学ぶなら、まずこの'Ohanaを理解しなくてはならないのだ。受講期間は2か月。よしっ!と決心して、ホームページの申し込みボタンをクリックした。

次に、生活の拠点となるアパートをインターネットで探していると、見覚えのある部屋の写真が。なんと、以前、ハワイに住んだときに暮らしていたアパートが、オーナーが変わり、ハワイ大学の学生用宿泊施設となっていたのだ。何だか運命的なものを感じて、これもPCの前で即決定。

もう1つ、ヒロで暮らす上で必要なのが車だ。2か月のレンタカー料は、アパートの家賃の数倍になったが、バスが走っていないこの町では車がないと身動きが取れない。本当は中古車を買い取り、帰国時に売るのがベストの方法だったのだろうが、一人での車の売買は心細かったし、保険に関してもよく分からない。ならば、少々の出費はしょうがないと決心し、レンタカー会社Dollars Rent a Carの申込みボタンをクリックした。

なんでも気持ちさえ決まれば、あとはPC任せ。今の世の中は簡単に事が運ぶ。

こうして始まった2か月半のハワイひとり生活は、夢のような月日だった。クラスメートは年齢も職業もさまざま。大半がハワイ大学の学生だったが、それ以外に何人かユニークな人がいた。

その1人は、私とほぼ同年代と思われる日本人女性。私も50歳を越える年齢で一人でハワイ大学を受講しようというのだから、他人のことをユニークだなどと言えた義理ではないのだが。また、毎朝サーフィンをしてからクラスに来るハワイアンの女性は、波がいい日はサーフィンに費やす時間が長引き、時々遅刻をしてきた。海からあがってすぐ来るせいか、長い髪はいつも濡れていた。 それから、夫が家族を捨てて家を出て行き、州からは経済的に扶養能力がないとみなされたシングルマザーもクラスメートだった。「何とか生活力をつけないと子供は施設行きになる」、と悩みは深刻で、授業が始まる前の教室で、時々一人泣いていた。そんな彼女に対して私にできることは、話を聞いてやることだけだった。
そんな彼女とは逆に、強くたくましいシングルマザーもいた。彼女は、ハワイ大学でコミュニケーションのクラスを教えている白人女性講師。子供がいるというので、席が隣になったときに、つい『ご主人のお仕事は?』と尋ねると『I don't need a husband(私には夫なんて必要ないのよ!)』と一蹴。"安易にプライバシーには触れないこと"・・・このクラスで学んだ最初のレッスンだった。

38-image001.jpgこんな仲間と共に始まった"Hawai'I 'Ohana"のクラス。先生はもちろんハワイアンの女性講師で、クム・アーネラと呼ばれていた。「クム」はハワイ語で先生という意味。だから、クム・アーネラは「アーネラ先生」となる。これから始まるこの楽しい仲間と陽気なアーネラ先生との2か月間、どんなことが待ち受けているのか、不安10%、期待90%で、私は大きく胸を膨らませていた。
〔クム・アーネラの授業風景〕