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第41回:夢のサマーセッション④  最終課題"グループ・プロジェクト"
2013年08月09日

【written by 扇原篤子(おぎはら・あつこ)】1973年から夫の仕事の都合でハワイに転勤。現地で暮らすうちにある一家と家族のような付き合いが始まる。帰国後もその 一家との交流は続いており、ハワイの文化、歴史、言葉の美しさ、踊り、空気感に至るまで、ハワイに対する考察を日々深めている。
【最近の私】本当に暑い毎日が続いている。8月末に長男の赴任先、ジャカルタに1週間ほど行く予定だ。友人にそのことを話すと、誰もが「ジャカルタ、暑いでしょうね」と言うが、今の東京の暑さに比べれば、大したことはない。日本は本当に熱帯地方になったのでは??
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「夢のサマーセッション」の締めくくるのは筆記試験と、グループごとに研究の成果を見せるグループ・プロジェクトの発表だった。

筆記試験のほうは、これまで学んだハワイの歴史や文化に関する様々なハワイ語の中からTrue or Falseを選択する問題や、ブランクを埋めたり説明をしたりするといったもの。あれだけ一生懸命、試験勉強をしたにも関わらず、とても難しく苦戦をした。一番いけなかったのは、「Spell my name correctly(私<先生>の名前を正確に書きなさい)」を正解できなかったこと。ごめんなさいアーネラ先生。私は50点満点で、39.5点しか取れなかった。

しかしグループ・プロジェクトの発表では、この結果を挽回。内容にふさわしい独自の研究発表が高評価につながることになった。

サマーセッションの初日、アーネラ先生からグループごとに研究内容を決め、授業以外の時間に各自リサーチをして成果を発表するよう説明があった。ハワイの音楽、フラ、レイ、スポーツ、農業、漁業、土地と水に関する権利、織物など、あらかじめ先生が候補を提案。興味深い項目が多々あったが、私は以前から強い関心を持っていたハワイの宗教について、もう少し追求してみたいと思い、これを調べてみることにした。

私のグループのメンバーは、日本人のチエさん、ハワイ大学の講師キャサリン、パホアから通っているケリー、そして私の4人。タイトルは、ハワイの宗教といえばこの存在以外考えられない"ペレ"だ。

4人でいろいろと話し合い、研究の成果は、なんとスキット(寸劇)で発表することに決定!実は高校時代、私は体育祭の山車でギリシャ神話の女神役をやったことがある。白いシーツを身にまとって女神になりきり、大勢の人の注目もなんのその、みんなと大いに盛り上がったのだった。

今回は毎日のようにみんなでキャンパス内に集まり、ハワイの人々の生活におけるペレの存在、その歴史的背景を踏まえて、自分たちでスクリプトと配役を考えた。私が演じたのは、キリスト教の宣教師と結婚したハワイに住む日系人。ペレを信仰する気持ちは消えないが、夫の影響でキリスト教との間で揺れ動くという役だ。チエさんは、その長い黒髪が似ていることから、火の女神ペレ。そして私の娘役となったキャサリンは現代科学を信じる新しい型の人間、もう1人の娘を演じたケリーは従来の風習やマナ(神の力)を信じる古い型の人間。新旧の信仰の間で揺れ動く母親を、二人の娘がセリフの中で体現するというわけだ。結構長いセリフを必死に暗記し、使う小道具を集めるためにヒロのダウンタウンをあちこち探しまわるなど、研究は手作り感があふれるものになっていった。

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    〔スキットが終わりキャストが勢ぞろい〕             
〔火の女神ペレに捧げものをする日系人役の私〕 

スキットの練習中には、高校時代の体育祭をたびたび思い出した。あの時は恥ずかしさなど微塵も感じず、とにかく楽しかったという記憶しかない。しかし、このサマーセッションでの発表はなぜか"猛烈に"恥ずかしかった。理由は分からないけれど、とにかくクラス全員の前に立つのが照れくさかったのだ。この場から逃げてしまいたいとさえ思うほどだったが、不思議なことに英語でセリフを話し始めると、その恥ずかしさが半減。最後まで日系人役を演じ切り、スキットは無事終了。まったく妙なものだ。

ほかのグループが作表したり、調査資料を図に表したりと、しごくまともな研究発表だったので、私たちの"宗教グループ"のスタイルは実にユニークだったと思う。これがアーネラ先生の目にどう映ったのかは分からないが、最終的な私の総合評価は『A』。はるばる日本からやって来た、その労をねぎらっての評価だったのかもしれない。

こうして私の『夢のサマーセッション』は終了した。わずか2か月余りの経験だったが、一生心に残る思い出となった。ここで取得した単位は、いつまでも大学の資料に残る。またいつかハワイ大学へ戻り単位を重ねていって、一生かかってでも卒業の資格を取りたい。そんな夢を実はひっそりと抱いている。