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「主水 日本橋店」:心に残る島根の味
2011年03月04日

【written by 樋口孝一(ひぐち・こういち)】最後の晩餐に食べたいモノが、年を取るごとに変わっていきます。昔はグリーンカレー、最近はエノキ炒め。次は何になることやら。
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主水4.jpg古事記にその創建が記され、近年はパワースポットとしても人気の「出雲大社」、夕景が多くの人を魅了する「宍道湖」、日本最古の歴史を持つ名湯「玉造温泉」、鉱山遺跡としてはアジアで初の世界遺産に登録された「石見銀山遺跡」...。知れば知るほど奥深い島根県。その島根の味を堪能しようと訪れたのが「主水(もんど)日本橋店」だ。

お昼の名物は「がいな丼」。「焼きサバがいな丼」や
がいな丼.jpg
「穴子白焼きがいな丼」など迷った結果、さまざまな味が楽しめる「海鮮がいな丼」に決定。「がいな」とは島根の言葉で「大きい」という意味。その名の通り大ぶりな丼が登場。お店オススメの食べ方に従い、まずは「がいな丼のタレ」にわさびを溶いて丼にかける。甘じょっぱいタレが色とりどりの海鮮に風味を与える。具材は、イクラ・サーモン・ヒラメ・マグロ・アジ・サバ、そして島根ではダルマダイとよばれるメダイ。続いて丼の中身を椀に盛り、だし汁をかける。だし汁のカニの風味が、8種類の海鮮と相まって口いっぱいに広がり、海鮮のふるさとである日本海が思い浮かんだ。そのイメージと重なるように、島根を舞台にした映画『RAILWAYS』のシーンがよみがえってきた。

一流企業のエリートサラリーマン筒井肇は、50歳を目前に取締役への打診を受ける。一方で、親友の川平が工場長を務める工場を閉鎖する役を任される。そんな折、故郷の島根で1人暮らしをしていた母が入院。追い打ちをかけるように、筒井のために工場閉鎖の業務に奔走する川平が交通事故で亡くなる。母を見舞うために帰省した島根で、少年時代の夢を思い出した肇は、人生を大きく変える決断をする...。

島根の青い海と抜けるような空。家の畑の前をゴトゴトと走り抜ける一畑(いちばた)電車、愛称バタデン。現代の物語でありながら、郷愁をそそるシーンが満載だ。物語の後半、祖母が余命わずかであることを知った肇の娘・倖(さち)が、畑で泣き崩れる。肇は娘に「ばあちゃんのだ」と畑のキュウリを半分に折って差し出す。祖母のことが大好きな倖にとって、生涯忘れられない味になるのだろう。

赤天.jpg忘れられない味といえば、「赤天(あかてん)」がある。島根の知人に郷土料理を尋ねたとき、ぜひにと薦められた。唐辛子を混ぜた魚のすり身を揚げたもので、食感はもっちり、やがてピリッとした辛さが口に広がる。もちろん、今回ご紹介した「主水」でもメニューに赤天が用意されている。島根のソウルフードはマヨネーズをつけるのが定番のようだが、「主水」で食べるなら「甘露しょうゆ」もオススメだ。

★お店情報★
店名:主水 日本橋店
ジャンル:島根の味・日本海の幸
電話番号:03-3231-2213
住所:中央区日本橋室町1-5-3
交通手段:三越前駅より徒歩1分
定休日:年末年始
営業時間:【昼】平日11:00~15:00(L.O.14:30)、土日祝11:00~16:00(L.O.15:30)
【夜】17:00~23:00(L.O.22:30)