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「ボンディ 神保町本店」: レトロな気分に浸りながら味わう欧風カレー
2011年02月17日

【written by 池田明子(いけだ・あきこ)】昭和の情緒ある音楽をこよなく愛し、子供のころから"一番のスター"はJULIE。今もライブに足を運び、その変わらぬ艶のある歌声に魅了され続けている。
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110209_150639.jpg古書店は過去への迷路だ。懐かしいタイトルや表紙を見つけ手に取り始めたら最後、何時間も出られなくなってしまう。古書にはそんな得体の知れない魅力がある。原田宗典の短編集『人の短編集』(角川文庫)に収録されている『人を喰う本』の主人公もそんな魔物に憑りつかれた1人だ。大学を卒業し、大型書店に勤める彼の元に、ある日奇妙な老人が現れ、1冊の本を探して欲しいという。分かっているのは『人を喰う本』というタイトルと聖書と同じくらい古いということだけ。見つけられない男を後目に、老人は意味ありげな笑いを残して立ち去るが、男はその本を探すことだけに夢中になり、やがて常軌を逸していく...

約180軒の古書店が軒を連ねるという神保町で、古書店や中古CDショップなどを巡った後に立ち寄りたいのが、欧風カレーの店ボンディ神保町本店。神田古書センタービル2Fに上がり、古書店の店舗内をそぞろ歩くとたどりつくという、絶妙な立地にある。

110209_143230.jpgカレーのメニューはビーフ、ポーク、チキン、チーズ、エビ、アサリ、野菜、キノコ、魚介、お子様用など豊富なラインナップ。さらに辛さも甘、中辛、辛から選べる。同僚と訪れた今回は、王道のひとつであるポークとチーズをそれぞれ中辛で注文してみた。カレーの前に運ばれてきたのは皮つきの丸ごとポテトにバター。これがシンプルだが自然な甘みがあって嬉しい一品なのだ。この素朴な味は、昔祖母が作ってくれた「蒸かしいも」を思い出させる。古書店ですでにレトロな気分に浸っていた私たちは子供のころの思い出話に花が咲く。やがて、運ばれたカレーはご飯の上にチーズが散らしてあり、ルーは銀のサーバーに入っている本格使用。ポークカレーには大きめのポークがゴロゴロ入っており、ボリューム満点だ。一方ルーにとろけるチーズがのったチーズ110209_143131.jpgカレーはさらにマイルドな味わい。ルーはとろみがあり、甘みや旨味が広がった後から、ほどよい辛さがやってくる。ヒリヒリするような強烈な辛さはなく、日本人好みのマイルドな味だった。カレーは1450円~なのでランチには少し贅沢な気もするが、ボンディはレトロな古書店と相まって、なぜか郷愁を誘い、また行きたくなる。今は亡き祖父母と暮らしていた時代が無性に懐かしくなった午後だった。

★お店情報★
店名:ボンディ神保町本店
ジャンル:カレーレストラン
電話番号:03-3234-2080
住所:千代田区神田神保町2-3 神田古書センタービル2F
交通手段:都営三田線・新宿線 営団半蔵門線 神保町駅 徒歩 1分
営業時間:11:00~22:30(L.O.22:00)
定休日:年中無休(年末・年始・夏季休業を除く)