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「トレビ」:名作の一品と共に気軽なイタリアンを
2011年05月13日

【written by 落合佑介(おちあい・ゆうすけ)】食べることは生きること」がモットー。『神田グルメディア倶楽部』に入部して、食べ歩きを何時間でも続けられる自分を発見した。食への探求心は尽きず、どこかに面白そうな店はないか、と考え日々生きている。
-----------------------------------------------------------------------------------------「トレビ」取材写真1.JPG

料理に疎くては本物の男になれない。そう思ったのは、映画「ゴッドファーザー」を見たときだった。イタリア系アメリカ・マフィアの家族愛とファミリー間の抗争を描いた「ゴッドファーザー」には、食事の場面が多い。ファミリー同士の抗争だけでなく、食事や台所のシーンが登場するのは、敵には容赦なく報復を与え、仲間とは家族のように強い絆で結ばれているという、マフィアが持つ2つの顔を描くためなのだろう。中でも冒頭での一言が浮かぶほど印象深いシーンがある。腹心のロッコが、ゴッドファーザーの息子マイケルに「料理は男のたしなみだ」と言ってパスタの作り方を教える場面である。ゴッドファーザーとして将来大勢を養う運命のマイケルに、マフィアのしきたりをよく知る古株のロッコが、人を養う術の基本である料理を教える。その状況に、ただの坊やを本物の男に育てあげるファミリーの習わしを垣間見た気がして、料理は本物の男になる上で必須の技術なのだな、と実感した。


「トレビ」取材写真2.JPGこのシーンに登場するパスタは、ゴッドファーザー風スパゲッティと名付けられ、今では市民権を得ている。トマトソースにソーセージとミートボールを入れた一品で、隠し味に砂糖が少々入っているのが特徴だ。このパスタを食べたのが、今回行ったイタリア食堂「トレビ」。神田駅北口から歩いて2分のところにあり、気軽にイタリアンを楽しめる雰囲気の店だ。感じも良い店員さん2人とオーナーで切り盛りしていて、調理をオーナーが一人で担当していた。お客さんの話に気さくに受け答えしながらも一人で調理をこなす姿は、本物の男だった。空いた皿を取り替えるタイミングもさりげなくてサービスの目が行き届いている感じだ。価格はどうかと言うと、メインの料理が1000円台後半で、リゾットやパスタは1000円台前半である。ゴッドファーザー風のパスタはこの日のメニューにはなかったが、注文したら作ってくれた。また、前菜一皿が500円とリーズナブルなので、フォアグラをペーストしたカリカリのパンとさんまの燻製も注文した。フォアグラを使った前菜をこの値段で食べられる店はなかなかない。しっかり食べたいという人はもちろん、軽く食べたいという人にもオススメの店である。ただし、リーズナブルな値段もあってか満席なときが多いそうなので、予約の確認は忘れずに。


★お店情報★
店名:トレビ
ジャンル:イタリアン
電話番号:03-5289-8868
住所:東京都千代田区神田多町2-1笹島ビル1階
交通手段:JR神田駅北口より徒歩2分
営業時間:ディナーのみ 17:00~2:00
定休日:日曜・祝日