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「神田・むら治屋」:被災地の酒を飲みに行った
2011年05月20日

【written by おおひらしょうご】食う、飲む、遊ぶがモットーのダメ人間。将来の夢は主婦、もとい主夫。料理好き。
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「ハナサケ!ニッポン!」を知っているだろうか。これは、花見の自粛により酒の売り上げが激減した日本酒造りの蔵元たちが、"自粛をやめ、東北の酒を飲んで被災地を応援してほしい"とYouTube上で訴えているプロジェクトのことだ。メディアでも紹介されているし、サンドウィッチマンなど芸能人も協力している。僕もいち酒好きとして、微力ながらもこの運動に協力しようと思い、被災地の酒を飲みに行くことにした。


というわけでやってきたのは「神田・むら治屋」。この店では店主が吟味して取り揃えた日本全国の純米酒が味わえる。店のコンセプトは、"日本酒初心者から大ベテランまで楽しめる店"。震災直後からは被災地の酒を中心に扱う蔵元おもいの店でもある。

IMG_0141.jpg「被災地のお酒でおすすめなのをください」と頼むと、まず宮城の『墨廼江酒造・八反錦純米吟醸』を受け皿にこぼれるまで、なみなみと注いでくれた。一口飲んでみると、果物のような香りとすっきりとした味わいが口の中に広がる。次は茨城の『来福酒造・愛山純米吟醸袋しぼり生原酒』。濃い黄金色をしており、先ほどの酒とはうってかわってトロリと舌にからむ濃厚な味だ。栃木の『仙禽・雄町55 無濾過生原酒』は少し白く濁っていて、ピリピリする炭酸の刺激と、乳酸菌飲料のような風味の優しい味がした。

店主に酒の選択をまかせれば、いろんなタイプの酒が味わえ、まさに店のコンセプト通り日本酒初心者でも楽しむことができる店だった。日本酒に興味があるなら「神田・むら治屋」、おすすめである。しかし、多少は日本酒について勉強してから店に行った方がより楽しめるだろう。なにしろ日本酒は奧が深いが、それにぴったりのマンガがある。

IMG_0146.jpg「夏子の酒」は、蔵元の娘である夏子が、亡き兄の遺した1000粒あまりの幻の酒米、「龍錦」から、兄の夢であった日本一の酒を造ろうとする物語だ。まず、「龍錦」を栽培して米を増やさないといけないのだが、有機無農薬栽培にこだわる夏子は農家の人たちの賛同を得られず孤立してしまう。しかしそれを意に介さず一人で田んぼを耕す夏子、さて彼女は亡き兄の夢であった日本一の酒を造ることが出来るのか...。この作品を読めば、酒米の栽培にから酒造りが終わるまでの行程が理解できる。そして、純米酒と醸造酒の違いなど日本酒に関する知識も十分身につく。

さあ、日本酒のことを勉強して「神田・むら治屋」へおいしい日本酒を飲みに行くのはどうだろう。ちなみに昼間も営業していて、ランチでは自家打ちの太くてコシの強い蕎麦などが楽しめる。

★お店情報★
店名:神田・むら治屋
ジャンル:蕎麦屋・居酒屋
電話番号:03-3252-0810
住所:東京都千代田区内神田3-21-2
交通手段:(JR神田駅北口 徒歩1分/地下鉄銀座線神田駅北口 徒歩1分)
営業時間:昼 11:30~14:00/夜 17:00~22:30
定休日:日・祝・土曜日(昼)・第一、第三土曜日(夜)