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「ご当地酒場 北海道八雲町」:"ジン"としみる北の大地
2011年06月02日

【written by 樋口孝一(ひぐち・こういち)】最後の晩餐に食べたいモノが、年を取るごとに変わっていきます。昔はグリーンカレー、最近はエノキ炒め。次は何になることやら。
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入口.jpg八雲町。北海道は渡島(おしま)半島の北部に位置し、日本で唯一、日本海と太平洋に面した町だ。道内でも有数の酪農地帯で、広大な牧場に牛が悠々と草を食む姿が見られる。じゃがいもなどの畑作、ホタテ貝などの養殖も盛んだ。かつてこの町を訪れた際に、大地や海の恵みを堪能させてもらった。そんな八雲の味を楽しめる店が、今回訪れた「ご当地酒場 北海道八雲町」である。

コロッケ.jpgまずは「八雲産じゃがいもコロッケ」を注文。コロッケにはじゃがいもをしっかりつぶしたクリーミーなタイプと、ごろごろと半つぶしにしたタイプがある。私は断然クリーミー派だが、この店のコロッケは私の好みにピッタリのクリーミータイプだ。さらに、しゃきしゃきとしたコーンの小気味よい食感がアクセントとなっており、ほっこりとした気持ちになる。続いて「直送!刺身定食」。船上活〆のホッケ刺は、身のしまった白身魚のように見えるが、口に入れるとトロッと溶け、
やがて耳の奥に"ジン"としみるような、しみじみとしたうまみを感じる。「八雲産しょうゆ」が、刺身のうまみをさらに引き出している。「八雲の恵み」を存分に味わった。

刺盛.jpg北海道を舞台にした映画に、高倉健主演の『鉄道員(ぽっぽや)』がある。雪深い駅を中心に、定年を目前に控えた駅長・佐藤乙松(おとまつ)が人生を振り返る物語だ。ある日、駅舎に人形の忘れ物があった。翌日、持ち主の姉という高校生が現れ、乙松のためにと、いつの間にか鍋を作ってくれる。不思議に思いながらも鍋をつつくうちに、これまでの人生を思い出した乙松は胸を詰まらせる。「(俺は)幸せもんだ。好き勝手なことばっかしてきて、あげくに子供もかみさんも死なして。だのに皆して良くしてくれるっしょ。ホントに幸せもんだ」。かつては栄えていた炭鉱の町に知らされる地元路線の廃止など、厳しい現実がある中でも、周りの人々の心が北海道のぼくとつとした言葉にのせられて温かく伝わってくる。「八雲の恵み」のように、心の奥にじんわりとしみる映画だ。

ちなみに「八雲産じゃがいもコロッケ」は北海道の広大な大地を思わせる大きさ。2人で1皿(2個)がちょうどよさそう。

★お店情報★
店名:ご当地酒場 北海道八雲町
ジャンル:和食
電話番号:03-3242-1833
住所:日本橋室町1-5-2 東洋ビルB1
交通手段:(三越前駅より徒歩1分)
営業時間:昼/11:30~14:00(月~日/L.O.13:30)
夜/17:00~23:30(月~金/L.O.23:00)、17:00~23:00(土、日/L.O.22:30)
定休日:年末年始